4杯目 Ars Cafe

感謝祭の週末を過ぎると一気にクリスマスの装飾も増えて、今年も終わりに近づいているのだなと少し感傷的になります。そんな気分にふらっと寄ってみたくなったのがArs Cafeです。Ars Cafeのあるダイヤモンドヘッドの麓モンサラットアベニューは、近年セレクトショップやカフェが増えて、丁度よい感じの賑わいのファッションストリートになりました。この通りの中でもArs Cafeは個性が際立っていて、マッキントッシュのオーディオが置いてあったり、ウッド調のアンティークな内装に、一瞬ハワイに居ることを忘れてしまいそうになります。

もちろん本格的なエスプレッソや地元ハワイのコーヒーも楽しめます。Arsはラテン語でアートという意味で、カフェの奥半分のスペースはギャラリーになっていて、定期的に変わる企画展をコーヒーを飲みならが眺められます。ハーベイ・カイテル主演の『スモーク』というクリスマスの映画があるのですが、このカフェの雰囲気はその舞台になったNYの煙草屋を思い出させます。人情深い店主とそこに集まるお客の群像劇なのですが、その中一つにこんなエピソードありました。店主は店の写真を毎朝同じ時間同じ交差点から撮影していて、それをアルバムにしていました。その写真にある日、常連客の一人が亡くなった奥さんを見つけて・・・と、これ以上は書きませんが、この映画を見たときに、この定点観測の視点も写真の本質の一つだと気付かされたものでした。それまでバックパッカー的な旅をして写真を撮ったり、海外での撮影の仕事が大好きだったので、移動する視点によってこそ写真が価値のあるものになると思っていたので、けっこうな衝撃を受けました。

こんな素敵なカフェならマスターになるのもわるくない、常連客やアーティスト、旅人たちを定点観測し見送る側になったらそれも面白いかなと、勝手な妄想してしまったArs Cafeでのコーヒータイムでした。

Ars Cafe アースカフェ
3116 Monsarrat Ave, Honolulu, HI 96815
月~土 6:30~18:00、日 8:00~18:00
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