プアケニケニと初夏に思うこと。

今年の春は新刊の執筆と、毎年恒例の夏のハワイ号の撮影でめくるめく日々を過ごし、ある編集部からは「三つ子」と呼ばれるほどで嬉しいやらおかしいやら、もうほんとに記憶にございません!みたいな失態も多々。大人になって仕事を通じて得た友というのは、ドライなイメージになりがちですが、私の場合は濃密な日々をこの優しいハワイという土壌で過ごすせいか、親しみと尊敬が上手に折り重なりあって風通しのいい関係を築かせてもらっている。本当にありがたいことです。そして気がつけば新刊も無事発行され、季節は初夏。プアケニケニが芳しく、レイでいただいたり、袋いっぱいにお花をもらったり。足が早い花だからレイスタンドに並ぶことはほとんどなく、地元の人が自宅の庭に植えて、その香りを楽しんだり、レイを手作りしたりするもの。そんな気のおけない感じと、その人の家の様子や、生活が垣間見えるようで、私がいちばん好きな花のひとつ。夜につんで、レイにしても持つのは1日くらい。儚いようでいて、その香りはどの花にも負けない印象深さ、そして白い花は香りを強く放ちながら黄色く変化していく。決して長く身につけられる花ではないけれど、ハワイの人にはとても愛されている。情報というのは旬を持ってこそだからまさに咲いては散る花のよう。それでもたくさんの人に愛されながら形をかえて支持されるよう、旅を彩る情報であるようにと思い作った本です。このサイトで一番に紹介しましょうと言ってくださった稲田さん、本当にありがとうございます。そして読んでくださった皆様もありがとう!また通常営業に戻りますが、今日も机にはプアケニケニを置いて夜風にのる香りに癒されながらこの原稿を書く自分がいます。

一覧に戻る