ハワイでアイリッシュパブなんてピンとこないかもしれませんが、ダウンタウンでは古くから知られた有名店。昼時はビジネスマンが多く訪れ、アロハシャツと古いレンガ作りの建物といい感じでマッチしている光景は観光地らしくなくまた違う地元の顔を見せる。ダイニングエリアとバーがあり、どちらでも食事は可能。フィッシュ＆チップスやコーンビーフなどのハワイではあまり見かけないイギリスやアイルランドで愛される料理がシンプルに美味しい。でもここではシェパードパイを食べてほしい。肉と野菜の煮込みにマッシュポテトを乗せてオーブンで焼くミートパイの一種で、これを出す店を私はハワイでここ以外に知らない。残り物で作る労働者のパイだというけれど、丁寧に作ってあるし、アメリカ人が好きなものが全て入っているから、これを求めてくる客も多い。そのほとんどの人たちはアメリカ本土出身でハワイに移住してきた人たち。楽園に恋して居着いた人にとって懐かしの味。この店から見える港に着いた遠い昔の移民たちのように、新移民というべき人が焦がれる故郷の味もまた長くこの島を愛してもらうための大切なもの。そう思って食べると素朴な味わいがぎゅうっと胸にしみます。